2018年8月31日金曜日

「3Dスキャンデータってこの程度?」

 「3Dスキャンデータがなかなかきれいにできないんだけど」というご相談をよくいただきます。ご相談いただける場合はまだよいのですが、もしかしたら「3Dスキャンデータなんてこのレベルなんだ。」と諦めてしまっているユーザもいるのかもしれません。

 もちろん、3Dスキャナは万能ではありませんのでなんでも完璧にデータ化できるわけではありませんが、中には正しい手順を理解することで今より良くなるケースがあります。

 例えば以下の2つのデータ。オリジナルのスキャンデータは一緒です。でも処理手順でこんなに結果が違ってくるのです。ここでは代表的ないくつかの症例とその対策をご紹介させていただきます。3Dスキャナは「安いから悪い」ということばかりではありませんので、せっかく購入した3Dスキャナの活用のお役に立てれば幸いです。




  • データが二重になっている
     これは本当によくある話です。複数のスキャンデータを合わせてひとつのモデルを作るときに、データの重なっているところの処理がうまくいかないとこのようになります。Geomagicには「統合」と「合成」という2種類のコマンドがあります。統合は単純に2つのデータセットをひとつにするだけなので、メッシュに対して実行してしまうとこのような結果になります。統合は点群に対して使うもので、メッシュの場合には合成を使います。合成であれば重なっているところをきちんと一枚のメッシュにします。スキャナの付属ソフトでも一般的には合成をしているはずですが、それでも重なって出力されてしまうことがあります。これは、各データの位置が微妙にずれていることが原因で起きることが多いです。スキャナの付属ソフトの中にはベストフィット計算があまり得意でないものがあるようです。

     一度合成されてしまうと、それをまた分解することはGeomagicでもできません。そのためスキャナの付属ソフトからは合成する前の状態で出力したものをGeomagicで読み込み、ベストフィットした後に合成をすることで、綺麗なデータになります。




  • 奥行きのある部分が繋がってしまっている
     これは、高さ方向だけを分析する3Dスキャナで取得したデータによく見られるケースです。真上から見たときに格子状に並んだ点を単純に隣同士でつないでしまうため、高さが大きく変化した場合にスカートのようなメッシュを作ってしまいます。もちろん、実際の形状とは異なります。これらのスキャナは1ショットのデータを解析することが主な目的なので、対象物の向きを変えてスキャンした複数のデータを合わせてモデルを作るということを想定していないのでしょう。もちろん、このスカートがある状態では複数のデータの合成どころか、位置合わせすらうまくできません。

     この場合は、Geomagicにメッシュではなくて点群で読み込みます。点群で読み込んで、不要な点であれば削除してからメッシュ化します。Geomagicであればメッシュ化するときにスキャン方向から見た角度やメッシュの辺の長さに限度値を指定することができるので、このようなスカートメッシュを作成することがありません。




        

  • 境界のデータが荒れている
     最後はスキャンデータの境界についてです。これは形状の境界ではなくて1ショットスキャンしたときのデータの境界のことです。よく「跳ねる」と言いますが、形状はそのままなのにデータが反ってしまったりすることがあります。この状態で複数のデータを合成すると、データの形状が違うので境界になっていたところが山脈のように凹凸になって残ってしまいます。

     これも合成してしまうと直すのがやっかいなので、Geomagicに合成前の状態で読み込みます。そしてGeomagicの「境界を選択」で境界部分を一度に選択します。もし跳ねがひどい場合には、「境界からメッシュいくつ分」と選択幅を拡張することもできます。そして削除してしまいます。もちろんデータはなくなってしまいますが、他のデータでカバーできます。光学式のスキャナはデータの周辺部分はレンズのゆがみ等もあって形状精度が落ちるので問題ないでしょう。そしてもう一度ベストフィットをしてから合成します。



 代表的な3つの症例ご紹介させていただきました。何か思い当たるものはありましたか?それぞれ考えながらやるのは大変だな。と思ったら、以下の流れで進めていただけばほぼ大丈夫です。


  1. スキャナはスキャンすることに特化してデータ処理は専用ソフト(Geomagic!)に任せる。
  2. 複数のスキャンデータを位置あわせできるシステムであればスキャナ側でやる。ただし合成はしない。
  3. それぞれのデータをGeomagicに点群として読み込む。(メッシュが信頼できるようであればメッシュでもよい)
  4. Geomagicのオプションを活用しつつメッシュ化する。(メッシュとして読み込んだ場合は不要)
  5. 境界を選択して削除する。
  6. もしスキャンデータの位置が合っていなければここで位置合わせする。
  7. 全体でベストフィットをする。
  8. 合成をする。
    以上です。


これ以外にも「もうちょっと何とかならないかな」と思うことがあれば、お気軽にご相談ください。 Geomagic.sales.japan@3dsystems.com

まずは評価版で試してみようという方はこちら!
リバースエンジニアリングソフトウェアのデファクトスタンダード 
Geomagic Design X

2018年8月22日水曜日

Post DMS Tokyoサイト オープンのお知らせ


6月20日~22日に東京ビックサイトで開催された「設計・製造ソリューション展(DMS東京)」の 3D Systems ブースのプレゼンテーション・デモンストレーションの動画を公開しました。
最新量産型3Dプリンターのご紹介や製造業を賑わす最新トレンドに沿ったソフトウェア製品のご紹介など、皆様のお役に立つコンテンツを配信しております。
DMS東京にご来場いただけなかったお客様、見逃したセッションがあるお客様、この機会に是非、ご覧ください。
DMS Tokyo 2018 (201982日まで閲覧可能)



2018年8月20日月曜日

螺旋の作り方

Geomagic製品のTipsや使い方を紹介するスポットライトウェビナー、その中から今回はGeomagic Design Xで螺旋形状の作成をご紹介します。
キャップやネジなどのらせん状の形状をリバースモデリングするにはどうしたらいいのか、日本語字幕でご参照頂けます。



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