2018年10月27日土曜日

いまさら聞けない『リバースエンジニアリング』とは? これさえ押さえればリバースエンジニアリングの全体が分かる!



 今回はリバースエンジニアリング ソフトウェアメーカー担当者として適応範囲が広いがゆえに意外とイメージしづらい、リバースエンジニアリングについて解説していきたいと思います。リバースエンジニアリングというワードはソフトウェアで語られることが多いですが、今回は工業製品を対象としています。

製造過程の逆再生がリバースエンジニアリングです。






 通常の製造過程はというと、設計者が作図した設計図面の情報から形状を部品として生産・製造し、組み上げたものが製品化され市場へ流通しています。

しかし近年では、もととなる設計図面が古すぎたり紛失して現存しない、もしくは図面と実際の形状が違うという問題が起きています。

さらに、既にある製品にアフターパーツを作成しオリジナル製品として販売する事例が増えていますが、これも既製品の設計図面が存在しないという状況となることが多い事例です。これらの問題を解決する手法として、リバースエンジニアリングがあります。このリバースエンジニアリングは現物の部品やパーツを測定解析し、測定したデータをもとに図面化する方法です。

通常の製造過程とは逆の工程で図面作成することからリバースエンジニアリングと呼ばれています。



リバースエンジニアリングはノギスで測定したものを使ってモデリングすることもできます。しかしここでは、最近注目されている3Dスキャナを使った例を紹介していきます。
それではリバースエンジニアリングについて詳しく見ていきたいと思います。

  • リバースエンジニアリングを行う際に必要なこと
  • ソフトウェアはなぜ必要なの?
  • 目的に即した3Dスキャナの種類
  • 扱うデータの種類
  • リバースエンジニアリングの活用先
  • リバースエンジニアリングで禁止されていること
  • 最後に


●リバースエンジニアリングを行う際に必要なこと
 リバースエンジニアリングには専用の3Dスキャナとソフトウェアが必要になります。
現物から設計図面を作成するという作業になるので、まずは形状を3Dデータとして測定する必要があります。


形状を測定するには専用の3Dスキャナが必要になりますが、測定物の大きさ・形状・表面と中身(取付けボス・リブ形状など)の情報が必要な場合など、用途によっていろいろな種類の3Dスキャナがあります。3Dスキャナの種類は大きく分けて6つの種類があります。詳しくは『目的に合わせた3Dスキャナの種類』の項目にて解説します。

測定データをそのまま出力し使用することはできないため、修正や加工を行うためのソフトウェアが必要になります。

それでは、なぜ測定したデータをそのまま出力し使用することができないのか?について解説していきます。


●ソフトウェアはなぜ必要なの?
 3Dスキャナで測定したデータは完全な状態ではないので修正や加工が必要になります。
測定データは点の集まりである『点群』や、三角形(ポリゴン)の集まりである『メッシュ』があります。点群やメッシュは密度によって形状が左右されますので、薄い場所は形状に正確性がなかったり穴が空いてしまったりということが起きます。


そして、一度に360°が測定できる3Dスキャナではないかぎり、複数方向から測定したデータを一つにまとめて合成する必要があります。いざ測定してみると最終形状に必要ない固定用の治具や床面を測定してしまうことがあります。そんな最終形状に必要ではない測定データは削除する必要があります。

3Dスキャナによっては苦手なものがあり、光沢があるものや透明なものは、空中に点群が浮いた状態のノイズが発生しますのでこれも削除対象になります。


測定データの形状が整った状態になり、そのまま3Dプリントする場合は問題ありませんが、きちんとした寸法をもったモデリングを行う場合はリバースモデリングのソフトウエアを必要とします。リバースモデリングのソフトウエアで作図したNURBS データをCADソフトウエアに転送し図面化します。


目的に合わせた3Dスキャナの種類
 3Dスキャナの種類は分類すると6つの種類に分類されます。測定するものや用途で測定精度・測定範囲が決まり、そのスペックを満たす3Dスキャナを決めます。

各種類ごとの特徴は以上となります。

  • アーム型最大2m程度を高精度に測定することができ、3Dスキャナと測定物が固定されていれば位置認識が可能なので合成する作業の手間が省ける。
  • カメラ型アーム型の3Dスキャナよりも高精度な測定ができる傾向にあり、一度の測定で広範囲が測定できる。1回の測定時間が長め
  • ロングレンジ型数百メートルなどの広範囲を測定することが可能。建造物の測定に使用されることが多く測定精度よりも測定範囲が優先される。
  • ハンディ型手持ちの3Dスキャナで1ショットごとの測定時間が短く、多少の動きがある対象物でも対応できる。
  • CT型中身を透過して測定することが可能。取り付けボス穴形状やリブ形状を含め測定物を分解することなく測定することが可能
  • 門型超高精度な測定が可能で検査用途で使われることが多い


●扱うデータの種類



点の集まりである点群、三角形(ポリゴン)の集まりであるメッシュデータを基本として
NURBS データのサーフェースや曲線、ソリッドデータがあります。点群の状態では物として出力し活用することが難しいので、メッシュデータかNURBSデータに変換が必要です。


測定データをそのまま3Dプリンターで出力するということであれば、メッシュデータの穴が埋まっている状態であれば出力可能です。しかし、測定データを参考値として型設計に使用する設計データとして出力したいという場合はNURBSデータに変換する必要があります。メッシュデータのままでは決められた寸法値に変更することは容易ではなく現実的ではありません。


●リバースエンジニアリングの活用先
 多種多様な目的でリバースエンジニアリングが活用されています。代表的な事例として次のような活用先が挙げられます。

  • 長年使用してきた加工機械に突然の故障が発生したため、部品の交換を迫られたものの、その交換部品がすでに生産を終了している
  • 既製品に手加工を加え、当初の図面から形状が変化している。その手加工されたものをベースに金型を作成する
  • 既製品に自社で制作したオリジナルアフターパーツを作成して販売する
  • 配管や機材レイアウト前の建造物を測定し、リバースモデリングした後にレイアウト検討に利用
  • 自然災害などで損傷が予想されるお寺や石像などの歴史的価値のあるものをバックアップとしてデータ保存
  • 倉庫が手狭になり、保管していた金型をデータとして保存しておきたい場合

●リバースエンジニアリングは違法となる?



 製品の分解や解析から構造や仕組みを明らかにすることがリバースエンジニアリングですが、容易に取得できる情報を活用することについては機密情報には該当しません。

この"容易に取得できるもの"というとこがポイントになりますので、市場で流通している製品を分解して調査するということであれば適法となります。しかし形状や構造を測定し、模倣したものを製品として市場へ流通した場合は違法となる可能性がありますので注意が必要です。

リバースモデリングを正しく活用すれば、製造コストや時間の短縮にもつながります。



●最後に
 リバースエンジニアリングのソフトウエアとしてGeomagic Design Xをご紹介します。Geomagic Design Xはリバースエンジニアリング専用のソフトウエアです。寸法が決まっている機械製品から、人間の身体にフィットするような有機的な形状まで、あらゆる物のリバースエンジニアリングに最適なソフトウエアです。


すでに多くの現場で活用されており、機能自体も使いやすく拡充されています。点群からポリゴン/メッシュの編集が得意で、その後のモデリングを行う際に最適なデータを作成することができます。

領域分割という特徴ある機能を使えば、CADソフトウエアと同じような使い方ができますので、既にCADソフトウエアを習得されている方には容易に習得でき、素早くモデリングすることが可能です。

無料トライアルとして15日間を制限ない機能の状態で使用することができます。
お問合せやご相談はお気軽にお問合せ下さい。
 Geomagic.sales.japan@3dsystems.com

2018年10月12日金曜日

セミナー:SOLIDWORKS WORLD Japan 2018 出展


SOLIDWORKS WORLD Japan 2018の東京会場において、SOLIDWORKSと3Dプリンタとの懸け橋となるアドオン、3DXpert for SOLIDWORKSのセッションを行います。

SOLIDWORKSで作成したモデルを3Dプリンタで造形するにはどうすれば良いのか、そもそも3Dプリンタでモノを作るとはどういうことか、なにが今までのモデルと違うのか。そういった疑問や悩みをお持ちではないですか?
セッションではこうした疑問への答えと、3DXpert for SOLIDWORKSがどのように役立てるのかを実際にご覧いただけます。

詳しくはイベント・セミナーをご参照ください。