2022年2月1日火曜日

Control X 幾何公差 - 位置度の実体状態「マルM」「マルL」 の指定方法

図面指示で寸法の後ろに〇(マル)の中に M (エム)と書かれた記号があるのを見かけることありますよね?

位置度の指示

これは 最大実体状態 といって、その位置を規制する際に対象の形状のサイズを考慮して位置度を評価することを示したものですが、Geomagic Control X でこの実体状態を評価するには 位置度 の 実体状態 にチェックして、最大実体状態(MMC)か、最小実体状態(LMC)かを選択します。

実体状態の判断には寸法に許容公差が指定されている必要がありますので、位置度を付けた対象の要素に寸法が設定されていなかった場合、実体状態にチェックすれば自動的に対象に寸法作成されます。

寸法への最大実体状態の指定

データムが寸法指示のある要素だった場合、データムの実体状態も条件として指定することができます。これはデータムとして寸法のある要素が指定されて初めてオプションが表示されます。

データムへの最大実体状態の指定

ところで、実体状態そのものは何なの?どういうときに指示されるの?というと、例えば、穴への軸を通して組付けるパーツがあります。組付けるためには軸が穴に入らねばなりませんので、穴の位置を位置度で規制するわけですが(軸側もしかり)、穴が許容範囲内で最も小さくできてしまった場合でも軸が収まる位置にできることを確認するという目的があります。逆に大きくできてしまった場合に軸と穴の隙間が空きすぎないように規制するという場合にも実体状態は使われます。

直径が最大実体状態(9.9㎜)の条件で位置度が指示された穴

穴の設計寸法が10㎜、許容公差±0.1㎜とした場合、穴は 9.9㎜ ~ 10.1㎜ の範囲であればOKということになりますね。この時、許容公差の中で穴が一番小さいとき(9.9㎜ のとき)がそのモノに対して材料が多く使われることになるわけですが、その状態が 最大実体状態MMC:Maximum Material Condition)です。逆に許容内で一番穴が大きいとき(10.1㎜ のとき)は材料が一番少なくなり、こちらは 最小実体状態LMC:Least Material Condition)と呼び、〇(マル)の中に L(エル)と描いて表します 。

  • 穴の径が小さければモノに使われる材料は多くなる=最大実体状態
  • 穴の径が大きければモノに使われる材料は少なくなる=最小実体状態

穴ではなく軸やピンの場合、実体状態は逆になります。つまり、軸の指示寸法が10㎜、公差が±0.1㎜だった場合、最大実体状態となるモノの体積が最大になるのは10.1のときです。よって軸径が10.1㎜のときを最大実体状態(M)として表し、9.9㎜の状態は最小実体状態(L)として表します。

  • 軸の径が小さければモノに使われる材料は少なくなる=最小実体状態
  • 軸の径が大きければモノに使われる材料は多くなる=最大実体状態

直径が最小実体状態(9.9㎜)の条件で位置度が指示された軸

実体状態についてはネットでも詳しく解説されてますが、 MONOist さんでは具体例を挙げて解説されているのでオススメです。

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