最近、非常に小さな部位を含む薄い板状のサンプルを造形しました。パーツの姿勢、サポートの調整を試行錯誤し最適化した結果、満足いくものが造形できました。改めて Figure 4 のポテンシャルに感心した次第ですが、このようなパーツは造形した後の洗浄と2次硬化がポイントです。パーツを破損しないように洗浄しないといけませんし、特に板状で薄いものは2次硬化の際の変形にも注意を払わないといけません。機械加工でもそうだと思いますが、3Dプリンターも「データを送ってスイッチ ON! 後は待つだけ」、というわけにはいかないようです。
ということで今回からしばらくの間は、スマートサポートにある 作成 についてお話ししたいと思います。
解析 によるサポートアンカー位置が決められたので、そのアンカー位置につけるサポートの設定を行います。パーツが造形中に落下せず更にパーツが変形しないよう設計する一方、サポートを強くしすぎて造形後パーツから取り外せなくなるということが無いよう設定値を決めていくのがポイントです。言葉では簡単ですが、多少の経験が必要なところでもあります。
ただ「全くゼロから設定値を決めてください!」ではあまりにも不親切すぎますので、3D Sprint は使用する樹脂毎に異なる初期値を用意してあります。樹脂によって異なる性質や造形中の1次硬化による収縮率などを考慮に入れて初期値が用意されていますので、初期値を使って全く造形ができないということは多くの場合避けられると思います。ですので、Figure 4 をご購入いただいて初めて造形する際は、パーツを配置したらまずは初期値で造形することをお勧めします。その後、造形結果に応じて少しずつパラメータを調整していくというのが良いのではと思います。
早速プリンターと樹脂の設定を動画でお見せして、選択した樹脂の初期値がどのようになっているのかお話ししたいと思います。今回はABS樹脂ライクとしてご紹介している、PRO BLK10(第6回 - どんな材料があるの?)を選択してみました。
設定が終わりましたので、PRO BLK10 の初期値を見てみましょう。
ツールバーより、 スマートサポート をクリックします。
まずはスタイル(第8回 - サポートの設計をしてみよう - スマートサポート1)ですね。スタイルとはサポートの形状のことで、使用する樹脂によって初期値が異なります。PRO BLK10 は Fine Flat Tip が初期値のようですね。円柱のスタイルではないようです。
またサポートの初期値ですが、主に "チップ" の部分が樹脂によって大きく異なります。この "チップ"とはテーパがかかった部分で、パーツに直接接触する部分のため、サポートという機能の中でも大きな要素の一つとなっています。 | |
各パラメータの説明は今後のブログでご説明していきますが、このチップはパーツに食い込む "貫通長さ"、チップの太さを決める "ピラートップ比率" 及び "クロスチップ比率" が比較的小さな値となっておりますので、造形による1次硬化の際に比較的硬化しやすい樹脂かなという印象を受けます。比較的小さなパーツを造形する場合は、ここら辺の値をもう少し小さくしてみてもよさそうですね。サポートが弱ければ、サポート痕も目立たないでしょうし。
まあこんな感じで初めて使用する樹脂でも、与えられた初期値を見ると何となくその樹脂の特性がわかってくることがあります。造形前にこの特性が何となくでもわかるだけで、サポートを設計する上では結構役に立つこともありますので、覚えておくと良いかもしれません。
次回は、サポートの各要素の種類についてお話ししていきたいと思います。
今回も最後までお読みいただき、ありがとうございました。
皆さんのご参考になれば幸いです。
記事 AEs
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