2010年1月29日金曜日

IndustryWeek 最新号より 記事のご紹介

最新のIndustry Weekよりラピッドプロトタイピングに関する記事をご紹介します。

Beam Me Up a Part, Scotty
By Peter Alpern
Jan. 20, 2010

★オリジナル記事:
http://www.industryweek.com/articles/beam_me_up_a_part_scotty_20808.aspx?ShowAll=1&SectionID=4


指紋と同じように、人間の耳は形も大きさもみな異なります。そのため、補聴器をカスタム化して各個人の耳にフィットさせるということは、長年の間、非常に大変で面倒な仕事でした。

しかし今日では、患者の内耳形状はデジタイズされ、CADCAMソフトに簡単に取り込めるようになってきました。数時間後には、ぴったりフィットするカスタムの補聴器のシェルがフォトポリマーから完成します。これを可能にしたのが、先進的なラピッドプロトタイピングです。

技術的にはラピッドプロトタイピングは25年以上前に開発され、当初より製品開発を飛躍的に向上させるとして期待されていました。エンジニアが即座に物理的なモックアップを手にすることができるからです。最新の傾向としては、ラピッドプロトタイピングを利用するのがエンジニアだけでなくなってきており、さらにプロトタイプ(試作)以上のことができるようになってきています。

「この技術はハードルを乗り越えながら、ラピッドプロダクションという分野で活用されつつあります。これは精度や再現性や耐久性などが向上された結果です。」スリーディー・システムズ社のCEO Abe Reichentalは言います。「これは、ラピッドプロトタイピングが現在、様々な材質のマテリアルに対応するようになった成果です。」

「補聴器の製造もその1つです。技術が製品開発に自由度を与えたのです」

「バイオメカニカルな材料を組み合わせたことにより、補聴器デバイスというユニークな分野に適合するようになりました。実はデンタル分野でも、クラウンやブリッジなどの製造にこの技術が利用されてきています。」

ラピッドプロトタイピングは1980年後半に自動車産業でまずブレークしました。現在ではこの技術はより広い応用分野で様々なユーザにより使われています。

例えば医療分野では、CTスキャンで取った患者の膝の骨のデータから、その代替物(インプラント)を製造しています。また航空業界では、飛行機のエアダクト、パネル、ダッシュボード、導管などの製造にも活躍しています。

ラピッドマニュファクチャリングにおけるラピッドプロトタイピングの一番重要な利点は、おそらく、設計終了から製造開始までのギャップを埋めることではないでしょうか。例えば、ある企業が、金型の設計から製造を待つ間に、数千パーツが必要な場合、最終工程を待たずに高速にパーツを手にすることができるのです。

ラピッドプロトタイピングもラピッドマニュファクチャリングも、”additive manufacturing”と呼ばれる、材料を積み重ねて作る積層造形技術を使っています。つまり、CADで設計された3次元データを、0.1mm以下の薄いスライス状に切り取り、それを一層ずつ液体状や粉末状のプラスチックなどの材料を固めながら、積み重ねて作っていきます。

ラピッドプロトタイピングは主にサーモプラスチック(熱可塑性プラスチック)を利用しています。すでに非常に様々な材料が開発されており、プラスチック以外にも、アルミからニッケルクロムやコバルトクロムなどの金属材料まで入手可能です。

「この業界はまだ2万種類の材料があるわけではありません」Stratasys社のR&D VPのPaul Blakeは言います。「今のところはまあ、50種類という程度でしょう」

ラピッドプロトタイピングが他の方法と圧倒的に違うのは、パーツが盛り上がってできるということです。例えば一般的である切削加工では、最初に材料の塊を用意し、最終的な形状ができるまで何時間~何十時間も機械で削り取っていきますが、不必要な部分はすべて削りかすとして廃棄物になります。

それに比べて、積層造形技術は“必要なところだけ”を積み重ねて作るので、廃棄される材料が非常に少なくて済みます。

そのため、ラピッドプロトタイピングやラピッドマニュファクチャリングは、非常にユニークな発想なのです。機械加工のように、専用エンジニアが機械の脇に始終付き添って機械の具合をチェックして調整する必要もなく、治具や固定フィクスチャも全く要らないのです。

「ユーザがやることは、3Dファイルをロードするだけ。あとは装置がその形状のレプリカを作ってくれます。従来の方法では考えられません。」Abe Reichentalは言います。「私はこれを、flexible factory in a box(箱の中の柔らかい工場)と呼んでいますよ。

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自動車のヘッドライトの試作。Accura 25 プラスチックを利用。このパーツはそのまま機能テストに利用されます。


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ラピッドプロトタイピングは短時間で数千パーツを作りだし、設計完了から製造開始までのギャップを埋める架け橋となっています。


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ラピッドプロトタイピングはまた医療分野でも活用されています。臀部の骨のインプラントの例。この場合、データはCTから取られ、患者毎に異なるパーツを作ります。

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