2021年12月1日水曜日

ラティスの作成あれこれ

先日ドイツで行われた FormNext のレポートを読んでいて、形状最適化パーツ+ラティスという形状がいくつか目につきました。3D Systems のソフトウェアでもラティスのモデリングができるのですが、パーツまるごと変換や、CAD 部品の一部などではない任意のフリーフォーム形状で部分的にラティスにするとなるとどういった方法があるかを考察してみました。

3D Systems の製品でラティスの造形をサポートするソフトウェアは、3DXpert3D SprintGeomagic Freeform がありますが、3D Sprint はラティスのデジタルモデル化はしないので今回は除外します。

まず最初に試したのが 3DXpert での作成。メタルプリンタ―で造形するならこれだけで作ればシンプルなフローかなと思います。Split & Copy ツールでメッシュをフリーハンドラインで分割して、断面を Close Mesh Gaps ツールで塞いだら、Create Lattice ツールでラティスに変換。

セルの骨格はいろいろ

格子がパキッとしてたので Smooth Latticeで有機形体ぽくしてから合成してみました。


これでも造形には問題ないかもしれないのですが、合成したポリゴン同士のつなぎ目のエラーポリゴンが気になります。そこで Geomagic Wrap のメッシュドクターに頼って修正。メッシュドクターはとりあえず手早くメッシュを修正してくれるお助けツールとして便利な機能です。
大体のエラーは直してくれる便利なメッシュドクター

ついでにマシン加工穴も塞いでサンドペーパーでならしてみました。

出力した STL を再度 3DXpert に読み込みます。よく見ないと分からないけどラティス部とパーツ部の接合部周辺のポリゴンが綺麗になってます。
重なったりした余計なポリゴンの破片が無い


次に Geomagic Freeform でもラティス作成の機能があるのでこちらでも作ってみました。Structure FX(ストラクチャーFX)という名前のツールでクレイパーツをラティスに変換します。パーツの分割は、複製したモデル上にカーブを描いて Ridge(リッジ)で押し出したクレイで切り分けて不要な破片を削除。一部削除して欠けたモデルとオリジナルを Boolean(ブーリアン)して差分を取ります。


ところで Freeform は粒の集合体で形を作っています。ラティスの大きさにもよりますが、この粒の大きさが再現できる形状の細かさになるので、ラティスにするには大抵はこの粒の大きさ = クレイの Coaseness(コースネス)を細かくする必要があります。今回のモデルには 0.1mm にしました。コースネスを変更したパーツに Structure FX を適用した様子がこんな感じです。
こちらも格子の形はいろいろ

できたラティスパーツを Boolean(ブーリアン)ツールで合成して一体化します。Freeform だと粒子(ボクセル)を結合させるので、ポリゴンの合成にくらべて合成箇所は基本的にエラーがなくなめらか。
コースネスを0.1mmにしたことで解像度も高くて綺麗

合成したモデルを STL で出力して 3DXpert で読み込んでみるとこんな感じ。


最初に 3DXpert で作ったモデルと、次に Freeform で作ったモデルの2つの結果を見比べると、こんな感じ。 どういう格子にしたいかによってツールの選択も変わってくるとは思いますが、どちらにしてもパーツの一部を自由領域でラティスにするというのはおおよそこんなフローになりそうです。

上が3DXpertとWrapで作ったもので、下がFreeformで作ったもの。

医療用途のモデルや形状最適化された複雑な有機形体ならハプティクスデバイスが使える Freeform でパーツを分けて、3DXpert でラティス化、というのも良いかもしれない。まだまだ考察も入口です。


関連記事:ラティス構造をデザインに応用する

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