2021年6月18日金曜日

シリーズ<こんなにすごいぞ Figure 4>: 第3回 - Figure 4による造形の流れを見てみよう!

前回までで一通りハードとソフトの話をしました。今回は、Figure 4 による造形を行う作業の手順をお話ししようと思います。これから導入を考えている方は、是非ご一読ください。既にご存じの方も復習のつもりでどうぞ。

今回ご紹介する手順1~5までは、第2回目のブログ(第2回 - プリンターだけじゃ造形できない、でもこれがあれば大丈夫!)でも触れておりますので、簡単にお話する程度に留めておきます。

では、さっそく見ていきましょう!


手順1.パーツデータの準備

まず初めに作りたいモノの3Dデジタルデータを用意します。当然ながらこれがないと何もできません!ここで使うデータは、CADやCGソフトウェアで作成されたデータや、3Dスキャナでスキャンしたデータ、そこからのリバースエンジニアリングモデルなど目的に合わせて多様な方法で作られます。


手順2.パーツデータのインポート

3D Sprint にパーツデータを読み込みます。


手順3.パーツデータの修正

データが閉じていない個所があったりすると3D造形ができないので、修正をします。こうしたデータのエラーや修正するべき事項は様々で、主には次のような点があります:

  • データが閉じていない(=穴が開いていて塞がっていない)
  • 多重ポリゴンがある
  • 不要なノイズ、極小ポリゴンがある
  • 捻じれや、自己交差がある
  • データが重すぎる

データを造形する前に、こうした問題を修正しておきます。


手順4.パーツデータの配置、サポートの設計

造形品質に最も影響を与えるところです。造形姿勢やサポートの付け方にはある程度セオリーがあります。プリセットや自動ツールを利用しながら、パーツの形状や大きさ、使用する材料、パーツの使用用途を考慮して、その造形に合った最適値をみつけていきます。


手順5.パーツデータの転送

サポート設計用のパラメータウィンドウ(手順4)とビルドファイルボタン(手順5)

3D Sprint からビルドファイル(造形用に変換されたデータ)を作成し、Figure 4 に送ります。送り方は、ネットワーク経由で 3D Sprint から Figure 4 本体に送る方法と、USBメモリに保存して Figure 4 本体に差し込んでコピーする方法の2通りあります。

 

手順6.造形開始

Figure 4 本体の前面にはコントロールウィンドウという小さいディスプレイが付いており、ここに送られたデータが表示されます。造形したいデータのジョブの開始ボタンを押します。

ジョブの開始ボタンと、推定造形時間

Figure 4 で使用する材料は正規認定品である必要があるため、ジョブの開始ボタンを押した後にネットワーク経由での正規品認証が必要です。材料ボトルに印字された2次元バーコードを、コントロールウィンドウ下部にあるバーコードリーダーで読み取ります。

材料ラベル読み取り中(2カ所同じものが印刷されています)

あとは、造形前の最終確認のためのチェックリストが表示されますので、内容を確認してチェックすれば造形が始まります!


手順7.後処理 - 洗浄

プラットフォームを Figure 4 本体から取り出し、造形できたパーツをプラットフォームから外します。プラットフォームには網のように穴が開いているので、裏からパンチツールを使って押し外すことができます。

パンチツールを使ってプラットフォームからパーツを外しているところ

専用パンチツール

外した造形パーツは、1次洗浄(クリーニング)、2次洗浄(すすぎ)の2段階に分けて洗浄します。1次と2次で洗浄に使用する溶剤(※)が同じでも、これらの段階では必ず容器を分けて、2次洗浄では綺麗な溶剤ですすぎます。

洗浄方法は、溶剤を入れたガラス容器に造形サンプルを入れ、水を張った超音波洗浄機の中にセットする方法(一部の材料では超音波洗浄に対応していないものもあります)と、柔らかい刷毛等を使って溶剤の入った容器の中で洗浄する方法があります。刷毛等を使って洗浄する場合は、造形サンプルの表面に傷や刷毛の痕跡が残らないように、余り力を入れすぎないようにやさしく扱うよう注意します。

溶剤をかけながら洗浄しているところ

造形したパーツは溶剤によって浸食されてしまう恐れがあるため、全2回の洗浄工程で溶剤に浸してよい時間が決められています。概ね3~6分以内ですので、手早く洗浄を終わらせます。洗浄後はパーツを十分に乾燥させてください。

洗浄方法と洗浄時間について

※:主に洗浄ではIPA(イソプロピルアルコール)を使用しますが、換気および専用保護具の装着が必須です。事前に使用における注意を十分理解しておくことが必要です。


手順8.後処理 – 2次硬化(紫外線硬化と熱硬化)

十分乾燥させた造形サンプルは、Figure 4 専用の紫外線硬化オーブンを使って2次硬化を行います。一般的な光造形では、紫外線硬化と熱硬化を別工程として行いますが、Figure 4 の樹脂材料ではなんと1つの工程で同時に行えます!造形時間全体の大幅な短縮にもなりますね。

尚、この2次硬化によって、パーツは最終的な機械特性を持つに至ります。材料によって2次硬化時間は異なりますが、一覧表をご用意してありますのでご心配なくご利用頂けます。

2次硬化用UV・オーブン


最後に、いわゆる後処理、ポストプロセスと呼ばれる工程(手順7~8)について一例としてまとめます。参考にしてみてください。

後処理のながれ


 

最後までお読みいただき、ありがとうございました。

次回以降は、3D Sprint を使った造形用データ(ビルドファイル)の作成についてお話していきたいと思います。

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